03-16

庭と芝16

庭と芝16-芝の一年〜芝刈り機のメンテナンス

01【芝の一年】
02【芝刈り機のメンテナンス】

01【芝の一年】  2006.09

「白いおうちに緑の芝」というミーハーな夢を追いかけ、何の知識も経験もないまま始めた西洋芝だったが、無事に一才の誕生日を迎えた。早いもんだ。
育てる前に自分が持っていた西洋芝に対するイメージや不安(庭と芝01参照)に、自ら答える形でこの一年を振り返ってみる。また、高麗芝は育てたことがないので詳しい比較はできないが、西洋芝と高麗芝の比較もしてみる。

生育データ
地域 種類 面積 期間
福島県郡山市 雪印種苗の寒地型芝「C」 23m2 2005.09 種まき〜2006.09

Q1.一年中緑か?
回答:「そうでもない」


「西洋芝は一年中緑」が売りの一つ。自分もそう信じて西洋芝を選んだ。しかし、夏と冬は成長が止まり、鮮やかな緑ではなくなる。
8月は、暑さで元気がなくなるし病気も発生しやすく一年で最も状態が悪い。逆に高麗芝はとっても鮮やかなので、うらやましく悲しい気持ちになる。
12月〜3月までは、緑でも茶でもなく変な色。雪に覆われて見えないことも多く、西洋芝のメリットを感じることも少ない。

2005.11 写真 2006.03 写真
2005.11 まだ緑が残る芝 2006.03 変な色の芝

「西洋芝にして良かった」と思えるのは、スプリングフラッシュの5月。一年で最も状態が良くなるので、毎日が楽しい。
それと11月と4月。この時期、高麗芝は茶色だが、西洋芝は緑が鮮やかなので、優越感を味わえる。

ということで、西洋芝は一年中きれいな緑を保つとは言えない。

Q2.成長は速いか?
回答:「すげえ速い」


成長の速さは想像以上だった。特に5月と10月。春と秋の最高気温20℃ぐらいの気候が大好きのようだ。この時期はグングン成長する。成長が速いので、芝刈りが頻繁に必要。放っておくと、高さ50cmぐらいまで平気で伸びる。もうこうなると芝とは呼べない。牧草だね。

ということで、西洋芝の成長は速い。

Q3.芝刈りは大変か?
回答:「好きじゃなきゃ無理」


8月と12月〜3月は成長が止まるので、芝刈りの必要はないが、4月〜7月と9月〜11月の芝刈りは、週一回ペース。
週末は、庭いじりばっかりしている感じ。これから子供が大きくなって「週末どっかに連れて行け〜」状態になったら、西洋芝の管理は無理じゃないか?と思う。

広い面積は電動リール式タイプ、狭い部分は手ハサミを利用して刈っている(庭と芝08参照)。毎週行う作業なので、当たり前かもしれないが、芝刈り機はいい物を買った方がいい。安いのはダメ。
知らないメーカーのハサミ式ハンディタイプが安かったので買ってみたが、ガチャガチャうるさいだけで、ちっとも刈れなかった。

もちろん、いい芝刈り機でもメンテナンスは必要。毎回使った後は掃除して刃を磨いておくべし。切れない芝刈り機は、ストレスがたまる。メンテナンス方法については後述するが、これも結構手間がかかる。自分は好きだからいいけど、普通の人はあまりやらないだろうなあと思う。

ということで、芝刈りが好きな人じゃなきゃ、西洋芝は無理。

Q4.病気は発生するか?
回答:「すげえ発生する」


高麗芝に、どのくらい病気が発生するかは分からないが、西洋芝はよく病気になる。特に悩ましいのが、クモの巣を張ったようになる「ピシウム菌」。こいつの被害が甚大。病気の進み方が速く、発見が遅れたまま放っておくと、アッという間に葉が溶けて腐る。ヒョエ〜って感じ。
毎日、朝起きてすぐに芝のチェックをすると、発見できるハズ。見つけ次第、薬を散布して対応する。早期発見、早期治療を心がけるべし。

2006.06 写真 殺菌剤写真
2006.06 ピシウム菌 使っている殺菌剤

ピシウム菌以外にも葉が「溶ける」、葉が「枯れる」などの病気が発生するが、葉が「枯れる」病気よりも葉が「溶ける」病気の方が怖いと思う。
以下は実際に自分が使っている物。病名、薬品などたくさん種類があるが、「菌糸」の有無で薬品を使い分けるといい。菌糸が発生したらピシウム菌なので「タチガレエース」か「アリエッティ」だ。

症状 菌糸 病名 薬品名 希釈倍率(倍) 散布量(リットル/m2) 購入価格
葉が溶ける ピシウム菌 アリエッティ 300 0.4 1,029円/250g
タチガレエース 500 1 1,150円/1kg
ブラウンパッチ バリダシン 500 0.5 1,344円/500ml
葉が枯れる ヘルミントスポリウム トップジンM 1,000 0.5 1,029円/250g
ダラースポット ロブラール 1,000 1 1,029円/100g

薬品の希釈倍率と散布量は、適当でも平気。最初はちゃんと秤で計量して散布していたが、最近は目分量でやっている。目分量でも分かるぐらい頻繁に薬を使ったということだけど。。。

無農薬栽培にはこだわっていない。できる事ならそうしたいが、芝は食べる訳じゃないし、割り切って薬を使っている。自分の腕前では、薬なしで西洋芝の管理は無理。

また、病気ではないがキノコも発生する。我が家では白、茶、黒など3種類以上のキノコが発生。キノコが生えたからって芝が枯れる訳じゃないが、見た目が悪い。2、3本ならかわいいが、ゴゾッと密集して生えるとキモイ。サプロールを散布するといいらしいが、薬は使わずにホウキで掃いて撤去している。

ということで、西洋芝に病気は付き物。

Q5.散水は大変か?
回答:「楽しい」


西洋芝は水が好きだと思う。成長時期には、雨が降るたびに伸びる感じがする。でも、毎日散水すると水道代が心配なので、晴れが続いた時だけ朝早く散水している。芝を植えてから、天気予報をよく見るようになった。

スプリンクラーは使ってない。それほど広い庭じゃないし、ホースで散水した方が丁寧にまけるから。ホースの出口を霧状にしてなるべく時間をかけて散水している。天気のいい朝に散水すると、芝がキラキラ光ってうっとりする。大好きな時間だ。

また、夕方は散水しない。散水するなら朝の方がいい。夕方に散水すると、翌朝ピシウム菌の発生につながる可能性が大。

ということで、散水は楽しい。

Q6.施肥は大変か?
回答:「そうでもない」


施肥量は雪印種苗のホームページに載っているので、その通りにあげればいいだけ。
最初は、何も知らなかったので化成肥料を使っていたが、以下に述べる肥料の話を聞いてからは有機肥料にこだわっている。無農薬は無理だけど、有機にはこだわるのだ。

化成肥料は塩酸や硝酸などの強力な酸にN(窒素)、P(リン酸)、K(カリウム)などの成分を溶かして作られるので、使っていると土が酸性になってしまう。
酸性が強いと植物が育たないので、アルカリ性の強い石灰をまいて土を弱酸性に中和する訳だが、「硝酸+石灰=せっこう」、「塩酸+石灰=塩化カルシウム」となり土が固くなってしまう。という話。

「土がせっこうになってしまう」という話は、イメージするだけでショッキングだった。芝は植えっぱなしにする植物だし、ただでさえ踏まれて固くなる土が、さらに固くなるのはイヤだ。
そこで、有機100%を謳っている芝の肥料を購入して使うようにした。でも結構いい値段がするので、油かすや魚かすなどの有機肥料を購入して自分でブレンドするようにした(庭と芝11参照)。現在は、さらにEM菌を追加して「EMぼかし」を作り、与えている(庭と芝15参照)。

ただし、ここまでこだわる必要はないと思う。効果があるのかどうか、自分でも断定できないしね。ただ、色々と考えてやる肥料作りも楽しいもんだ。

ということで、施肥は大変じゃない。

Q7.雑草抜きは大変か?
回答:「それなりに面倒」


基本的に除草剤は使用せず、全て手抜き。見つけ次第、除去するようにしている。雑草が大きくなる前に抜けば、抜くのも楽。
もし、雑草がしっかり根を張ってしまったら、周りの土ごとごっそり抜いた方がスッキリする。また、指でつまむのが難しい小さな雑草は、ピンセットを使用するといい。

芝がまだそんなに生長しない3月はヒマなので、この時期に雑草をこまめに抜いておくと後が楽だと思う。でも、雑草抜きは楽しい仕事じゃない。

ということで、雑草抜きはそれなりに面倒。


以上、たくさん書いたけど「西洋芝バンザイ!」とは言い切れない。「西洋芝は手間がかかって大変だ」は本当。好きじゃなきゃ無理だと思う。
サッカー場の芝や、大リーグ球場の芝をテレビで見ると、昔は「いいなあ」と単純に憧れていが、今は憧れと同時に「手入れが大変だろうなあ」と思うようになった。

知人の植木屋さんの言葉が思い出される。「毎週、芝刈りをしているなんて、たいしたもんだ。西洋芝の手入れができるんなら、高麗芝は楽勝!」

そ、そ、そんなに楽なのか???西洋芝しか育てたことがないから、よく分からん。

週末に時間が取れなくなって来たら、高麗芝に乗り換えてみようと思っている。

(追記)
高麗芝に乗り換えた様子は、庭と芝21参照。


02【芝刈り機のメンテナンス】  2006.09

芝刈りすると汚れるので、毎回掃除する必要がある。掃除をサボると、きれいに刈れないのだ。自分が使用している芝刈り機は、リョービのLM-2800。こいつのメンテナンス方法を紹介する。

掃除方法

まず、芝刈り直後の写真から。芝刈り機を立てて裏面から見た様子。赤いのが回転刃、黒いのが固定刃、黄色がローラ。一回の芝刈りでこれだけ汚れる。

芝刈り直後写真
芝刈り直後。汚いなあ。

まず、安全のためコンセントを抜く。固定刃を止めている4個のサラボルトを六角レンチで緩めて固定刃を外す。
純正のボルトは鉄でサビに弱いので、サビに強いステンレス製に交換してある。屋外で使用する機械なんだから、標準でステンレス製を採用して欲しいもんだ。

サラボルト写真 固定刃写真
サラボルトを緩める。 固定刃を外す。

軍手をして、固定刃、回転刃についた汚れを取り除く。芝がすり潰されてビッチリ付いているのだ。ブロワー(送風機)も使ってカスを吹き飛ばし、キレイにする。

また、取説には「やっちゃダメ」って書いてあるが、水洗いをすることもある。ただし、本体内部にはモーターなどがあるので、水をかけるのは、刃の部分だけ。ジャブ付けはダメ。水洗いは、自己責任でやってね。

芝のカス写真 掃除後写真
芝のカスを取り除く。 きれいになった。

固定刃を元に戻して、刃にサビ止めのグリスを付けたら、掃除完了。次に固定刃と回転刃のスキマ調整を行う。

スキマ調整

固定刃と回転刃のスキマ調整は、固定刃の左右にある調整ボルトで行う。スプリングが付いているので、すぐに分かる。ボルトを時計回りに閉めると、スキマが無くなり、反時計回りに緩めるとスキマができる。

このボルトは、M6の細目だ。ピッチ(ボルトが1回転で進む距離)は、0.75mm。30度回転させただけで、0.75×30/360=0.06mm進むことになる。コピー用紙1枚分の厚さがこのくらい。

スキマ調整写真
スキマ調整のボルト

ボルトを左右均等に少しずつ閉めてスキマを無くしていく。手で回転刃を回した時に、固定刃に当ってカリカリという音がしたらスキマゼロ。ラッピング(後述)は、この状態で行う。

スキマゼロから、30度から45度くらいのほんのちょっと緩めて戻すと、スキマ0.1mmぐらいになっている。自分はスキマゲージを差し込んで、スキマ0.05〜0.1mmに調整している。

ちなみにスキマゼロで運転させても、うまく切れない。スキマゼロならよく切れるかと思い試してみたが、うるさいだけ。刃にも良くないし、やるだけ無駄。

スキマゲージ写真
スキマゲージ0.1mm

スキマ調整は、必ず電源を抜いた状態で行うこと。そして、軍手などをして指を挟まないように注意。挟むと痛いよ〜(経験済み)。

芝の種類によっては葉の厚さも違うだろうし、刈る面積によっても最適のスキマは変わってくると思うので、各自ベストポジションをお探しあれ。

ラッピング方法

LM-2800には、ラッピング(刃研ぎ)機能が付いている。ラッピング機能と言っても、モーターが逆回転するだけのこと。
これは毎回、やる必要はない。取説には「作業時間10時間で行う」と書いてあるので、切れ味が悪くなったら試してみるといい。

まず、スキマ調整ボルトで固定刃と回転刃のスキマをゼロ〜0.05oぐらいにしておく。
付属のラッピングオイル(研磨材の入ったオイル)を、回転刃に滴下し手で回しながらブラシで塗り広げる。回転方向は上向き。手で回すと、ジャリジャリと固定刃に当たっている感じがする。

ラッピングオイル写真 ブラシ写真
ラッピングオイルとブラシ ↑に回転させながらブラシで塗り広げる。

コンセントをつなぎ、ラッピングスイッチを入れモーターを回転させると、刃を研ぐ(ラップする)ことができる。ジャリジャリという音がしなくなったら、ラッピング終了。固定刃、回転刃共に一皮むけた状態になる。

ラッピングした刃の写真
ラッピングした回転刃

刃に残っているラッピングオイルをふき取り、スキマ調整をしたら、メンテナンス終了。
これで、来週の芝刈りも準備OKだ。


「庭と芝16」おしまい。

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